公開日:2023/01/27
変更日:2024/08/29
自社の求める人材(ターゲット)に「この会社で働いてみたい」と思ってもらえるよう、自社の“魅力”や“価値”などの認知度を高めていくためのメッセージ発信やアピールを『採用ブランディング』と呼びます。
昨今の熾烈な獲得競争が繰り広げられるDX人材採用においても、企業のブランディング戦略が人材獲得のカギを握るといわれています。
この記事では、DX人材採用に絞った『採用ブランディング』戦略の在り方、手法、そして情報発信のポイントなどを解説・紹介します。
目次
本章では、DXを成功に導くデジタル人材獲得のためにどのように採用ブランディングをしていくべきか、その策定ポイントを紹介します。
DXを成功に導くデジタル人材の採用ブランディングとして、まずはそうした人材を採用するためにどのようなターゲットに向けて情報を発信していくべきかを明確にする必要があります。そのために、まずは自社にとって必要な人材要件の整理、人材採用戦略の策定が採用ブランディング成功のカギとなります。
市場規模や働く環境、人事制度など、「この会社は自分にとってメリットがある」ということをデジタル人材に知ってもらうことが重要です。加えて、DX化を見据えた自社のビジョンや経営戦略をわかりやすく伝えるなど、ターゲットが自社の将来性に期待してもらえるような企業イメージ戦略を固めていきます。
本章では、デジタル人材に響く採用ブランディングの内容とはどのようなものかを紹介します。
AI、IoT人材など、現在メインのデジタル人材のターゲット層はミレニアル世代(デジタルネイティブ世代)と言われています。この世代は物心つく頃からインターネットに触れ、テクノロジーと身近に接してきています。そのため、ミレニアル世代以前のエンジニアとは違った価値観を持ち、職業選択の志向性も変化しています。ブランディングにおいて、「優秀なCTOや有名なエンジニアがいる」、「先端技術を活用している」といったことがエンジニアに魅力を感じさせるポイントとなり、技術的な成長を期待できると判断されることが期待できます。
社内風土、メンバー、給与や福利厚生をはじめ、働くメンバーの言動や働き方に現れる価値観・振る舞い、現場のエンジニアが開発に注力・集中できているか、エンゲージメント高く働けているか、そのための仕組みがあるかなどが評価される傾向にあります。
デジタルツール(WEBサイト、SNS、動画など)を駆使しブランディングに成功している企業がより良い人材を獲得しています。ターゲットとなるデジタル人材が頻繁に閲覧しているメディアやツールを選び、発信することが大切です。
企業が取り組む課題の社会性の大きさ、解決インパクトとそれを実現させるための戦略・ビジョンなど、事業の大義を明確に示すことで、ともに歩むべき未来を共感してもらうことが大切です。
本章では、採用ブランディングを実施するにあたり、とくにデジタル人材をターゲットとする場合、どのような流れで行うのが効果的かを解説します。
求める人材について精査し、ターゲット像を明確にします。スキルだけでなく、人間関係や好みなどさまざまな角度から見極める必要があります。エンジニアを必要としている部署の意見を取り入れることも効果的です。また、活躍している既存エンジニアの傾向などのデータ分析ができればより人物像が明確になります。
自社の魅力や企業理念など、ブランディング要素を明確にします。アピールしたいポイントを十分に把握したうえで、伝えるべきメッセージを考えましょう。あいまいだとメッセージが伝わりにくくなります。デジタル人材の場合、特に技術的優位性やユニーク性が興味を引きます。
ターゲットとメッセージ内容が決まったら、どのように発信するか、メディア・ツール(自社HP、イベント、説明会、SNSなど)とコンテンツ形態(テキスト、動画、マンガなど)を考えます。また、露出量、時間帯も考慮する必要があります。
実際に情報発信、採用活動を開始します。発信後は定期的に効果検証と改善を行うことが重要です。
本章では、採用ブランディングを実施するにあたり留意しておきたいポイントを紹介します。
継続的に情報露出を行い、効果測定による定期的な改善・更新が必要です。
SNSでフォロワーが増えると、多くの人に情報が届きやすくなります。1日1ツイートを心がけるなどフォロワーの獲得を常に意識しましょう。
真実と発信内容にギャップや齟齬があると、入社後にギャップを感じ離職につながることがあります。実際の社員の体験談を載せると情報に真実味が感じられ効果的です。
人材採用支援会社ONEの調査(企業の採用サイトに関する意識調査2021年6月)によると、求職者が採用サイトで最も知りたい情報の上位は、「仕事内容」59.1%、「企業情報」37%、「福利厚生」32.8%、「具体的な働き方」22.2% という結果となっています。
上記の結果から、魅力的な仕事内容の紹介や「ここで働きたい」と思わせるオフィス環境のアピールなど、求職者が知りたい情報提供を心掛けることが大切だということが考えられます。
参考:「企業の「採用サイト」に関する意識調査」(株式会社ONE )
https://one-group.jp/press/210719.html
「ここで働きたい」と思わせるオフィス環境づくりを心掛けましょう。ブランディングを行うと同時に職場環境を改善することで、既存社員の満足度や生産性、定着率の向上にもつながります。
この記事では、DXの担い手であるデジタル人材採用に向けた『採用ブランディング』の在り方、手法、実施のポイントなどを紹介してきました。採用ブランディングを相対的にみれば一般的な技術系職種・事務系職種と、その手法などは大きく変わるところはありません。
しかし、特にデジタル人材をターゲットにした場合は、より細かな情報発信やターゲットに合わせた手法が必要になることがお分かりいただけたと思います。
採用ブランディングを実施することで、企業のイメージアップ・認知度アップが期待でき、その結果、求める人材の応募・採用、さらに企業の魅力向上につながります。人事・採用担当者の方々にもぜひ取り組んでいただければ幸いです。