「デザイン経営」の実践が企業成長のカギを握る | クリエイター人材紹介のHIGH-FIVE[HR]

HIGH-FIVE[HR]

クリエイターに専門特化した採用戦略・採用代行( RPO )なら
HIGH-FIVE[HR]|C&R社
ハンバーガーメニューボタン
ハンバーガーメニューボタン

「デザイン経営」の実践が企業成長のカギを握る

初めに

大量生産によりモノがあふれ、消費が飽和状態に陥っているいま、消費者の求めるニーズは、心の豊かさへとシフトしています。そうした経済環境のなか、規模の大小を問わず国内外の有力企業は、戦略の中心にデザインを据えて成長を遂げています。その戦略の中核をなす考え方が「デザイン経営」です。
この記事では、今後の企業成長に不可欠となる「デザイン経営」について、その基礎知識から導入において企業が整えるべき要件、またデザイン経営の実践にあたりカギを握る「高度デザイン人材」について解説します。

「デザイン経営」が企業成長のカギを握る

本章では、「デザイン経営」の意義、注目される背景、導入の効果について解説します。

「デザイン経営」とは

「デザイン経営」とは、端的に言えば、「企業価値向上のために重要な経営資源としてデザインの思考・視点を取り入れ活用する経営」を指します。
2017年に経済産業省と特許庁が立ち上げた「産業競争力とデザインを考える研究会」の提言をまとめ、同省・庁が2018年5月に発表した『「デザイン経営」宣言』※1によると、「デザイン経営」を「デザイン的な思考を経営に活用して、企業のブランド力やイノベーション力を向上させ、国際的な競争力を高める考え方」と示しています。

※1)出典:経済産業省・特許庁「産業競争力とデザインを考える研究会」2018年5月23日

「デザイン経営」が注目される背景

このような提言が出され、「デザイン経営」が注目されるに至った背景はどのようなものでしょう。それは、世界的な消費行動の変化が大きな要因とされています。
プロダクトアウトの概念で製品をつくり、次々にモノをつくっていれば売れていた時代はとうに過ぎ去り、いまは製品やサービスを通してユーザー一人ひとりが受ける体験(UX=ユーザーエクスペリエンス)がビジネスの成否を決める時代になっています。ユーザーは自分に新しい価値を与えてくれるモノを求め、共感できる価値や企業コンセプトで、買うモノやサービスを選択する時代になっているのです。
その結果、企業は「そこにあれば売れるではなく、選ばれないと売れない」という価値基準の転換に迫られました。ユーザーエクスペリエンスの質を高めるためにはデザインが重要なポジションを占めることに気づき、デザイン経営に取り組み始めたのです。
そして、デザイン経営の実践では欧米企業が先行し成功を収めています。アップルのiPhone、ダイソンの掃除機などが好例と言えます。日本企業は立ち遅れていましたが、最近は日本企業も色や形を変えるだけといった狭い意味でデザインを捉えるのではなく、イノベーション創出を狙った広義のデザインを理解する経営者も増えており、徐々に大企業を中心にデザイン経営が浸透しつつあります。

「デザイン経営」が生む効果

『「デザイン経営」宣言』によると、「デザイン経営」の実践から生まれる効果を次の方程式で表しています。
【「デザイン経営」の効果=ブランド力向上+イノベーション力向上=企業競争力の向上】

具体的に分解すると、デザインは、「企業が大切にしている価値や、それを実現しようとする意志を表現する営み」であり、個々の製品の外見を好感度の高いものにするだけではなく、顧客体験(UX)にその価値や意思を浸透させ、それがメッセージとして伝わり定着することで、「他の企業では代わることのできないブランド価値が生まれる」となります。
加えて「イノベーション力向上」については、「デザインはイノベーションを実現する力」であり、「社会のニーズをユーザー視点で見極め、デザインを介して新しい価値に結び付けることで、既存の事業に縛られずにイノベーションを構築できる」と説いています。
つまり、「デザイン経営」を実践することで、「ブランド力」「イノベーション力」が向上し、イコール「企業競争力の向上」という効果が得られるのです。

「デザイン経営」を導入するために

本章では「デザイン経営」を導入するための必要条件、また実践に欠かせない「高度デザイン人材」との関係を解説します。

「デザイン経営」を実施するための必要条件

『「デザイン経営」宣言』では、デザイン経営を実践するために具体的にどのように取り組めばよいのか、必要要件を挙げています。(一部引用)

①経営チームにデザイン責任者(CDO:Chief Design Officer、CCO:Chief Communication Officerなど)がいること
→デザインを企業戦略の中核に関連付け、デザインについて経営メンバーと密なコミュニケーションを取る。
・デザイン責任者=製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、ブランド形成に資するものであるかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つもの。

②事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
→デザイナーが最上流から計画に参画する。

③「デザイン経営」の推進組織を設置
→組織の重要な位置にデザイン部門を設置し、社内横断でデザインを実施する。

④デザイン手法によって顧客の潜在ニーズを発掘
→観察手法の導入により顧客の潜在ニーズを発見する。
・徹底的に顧客の立場に立ち顧客の体験すべてに向き合って考えること。当たり前だと思って受け入れているが、実は改善の余地・必要があるものを見つけ出す。

⑤アジャイル型開発プロセスを実施 
→アジャイル型=「観察・仮設構築・試作・再仮説構築」の反復により、質とスピード感の両方を実現する。

⑥採用および人材を育成する 
→デザイン人材の採用を強化する。さらにビジネス人材やテクノロジー人材に対するデザイン手法の教育を行うことで、デザインマインドの向上を図る。

⑦デザインの結果指標・プロセス指標の設計
→観察可能で長期的な企業価値を向上させるための指標策定を試みる

「デザイン経営」に必要な「高度デザイン人材」

『「デザイン経営」宣言』では、「我が国の企業の多くは、その経営層も含め、デザインに対する自信と意識がいまだ低い」と指摘しています。
その改善を意図し、経済産業省は2019年4月、デザイン経営を主導するスキルをもった「高度デザイン人材」の育成プロジェクトを立ち上げ推進しています。
同プロジェクトでは、「高度デザイン人材」の定義を「ビジネス・テクノロジー・デザイン(BTD)3領域のスキルを横断的に保有する人材」とし、ビジネス系やテクノロジー系の人材がデザイン思考を学んだり、デザイン系の人材がビジネスやテクノロジーの知識を身につけられるように設計されています。
また、高度デザイン人材が企業のなかでどのような役割を担うのか「BTD型高度デザイン人材の5つの分類」を掲げ、育成の指標としています。

①サービスデザイナー=シニアUXデザイナー、デザインテクノロジスト
・製品やサービスを含むすべての顧客体験を統合的にデザインする
・幅広い業務範囲や内容への対応

②ビジネスデザイナー=デザインコンサルタント
・社内外のハブ・ファシリテーターの役割
・事業企画者としての企画力・課題解決力を有する

③ビジョンデザイナー=ソーシャル・アントレプレナー
・世の中の流れを俯瞰し、未来を構想する
・ビジュアルでビジョンを示せる

④デザインストラテジスト=CDO
・クリエイティビティで事業課題を解決する
・事業収益、成長を生み出す

⑤デザインマネージャー=デザインカタリスト
・デザイン人材が創造的かつ主体的に活動できる組織や制度をデザインする
・デザイン主導組織をつくる

このように、デザイン経営に関わる人材(デザイナーやクリエイター)には、これまでの領域を超えた組織マネジメント力や課題発見・解決力、マーケティング力など幅広い知識・スキルが求められていることが分かります。

まとめ

この記事では、「デザイン経営」に関する基礎的な知識、背景、導入効果から導入における必要要件、さらにデザイン経営の実践に求められる人材=高度デザイン人材までを解説してきました。
すでに国内でも多くの企業が「デザイン経営」に取り組み始めており、ブランド力の向上、イノベーション創出のためのデザインはさらに注目されていくでしょう。
「デザイン経営」に関心を持たれ、取り組みを検討されている方々に、少しでもこの記事が役立てば幸いです。

この記事を書いた人

HIGH-FIVE編集部

取材・文、撮影、編集:HIGH-FIVE[HR]編集部