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公開日:2023/06/28

変更日:2024/02/28

2024年4月(令和6年)から職業安定法ルール改正。求人企業が抑えるべき注意点について詳しく解説

初めに

職業安定法とは

職業安定法とは、求人や人材紹介に必要なルールを定めた法律のことです。「職業紹介・労働者募集・労働者供給」という3つの分野で、企業が求人募集をしたり、職業紹介事業者が職業紹介をしたりする際に公開しなければならない情報や、禁止事項など、守るべきルールについて定めています。

求職者への就業の機会を提供し、企業の労働力の確保ならびに産業に必要な労働力を充足することで社会経済の発展に繋げることを主な目的としています。

2022年10月の職業安定法改正のポイントについて

2022年10月から下記3つの職業安定法の改正が行われました。今回の改正は、求職者が安心して求職活動を行うことができる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的にしています。それぞれについて詳しく解説していきます。

1.求人等に関する情報の的確な表示の義務化
2.個人情報の取扱いに関するルールの整備
3.求人メディア等について届出制の創設

参照:厚生労働省「職業安定法 改正のポイント

1.求人等に関する情報の的確な表示の義務化

求職者に対してより正確で最新の情報を提供するために、また虚偽・誤解が生じないようにするために、情報の的確な表示が義務化されました。また求人情報については変更があれば速やかに連絡・対応する、情報の更新日を明らかにするなど、細心の注意を払って掲載する必要があります。

【正確な表示が求められる項目】
・求人情報
・求職者情報
・求人企業に関する情報
・自社に関する情報
・事業の実績に関する情報

2.個人情報の取扱いに関するルールの整備

求職者の個人情報を収集する際は、求職者が想定できる程度に具体的に、個人情報を収集・使用・保管する業務の目的を明らかにしなければいけません。

【正しい例】
「求人情報に関するメールマガジンを配信するために利用します」
「会員登録時に入力いただいた情報を、当社の会員企業に提供します」

【誤った例】
「募集情報等提供のために使用します」のみの表示

3.求人メディア等について届出制の創設

「求職者に関する情報を収集している募集情報等提供事業者」には、厚生労働省へ事業の届出および年に1度の事業概要の報告が義務化されました。「労働者に関する情報を収集する」とは、求職者に対する以下のような行為を指します。

【届出が「必要」な例】
・会員登録を求めている場合
・メールアドレスを集めて配信している場合
・閲覧履歴に基づく情報提供をしている場合

届出が「不要」な例】
・紙媒体でのみ情報提供している場合

求人募集で最低限明示すべき労働条件と記載例

労働者を募集する方法は、求人サイトに費用を支払って掲載してもらう、ハローワークに求人票を出す、自社ホームページへの掲載など様々ありますが、最低限明示しなければならない労働条件は職業安定法で予め定められており、どの募集媒体を利用する場合であっても変わりはありません。「最低限明示しなければならない労働条件」の項目及び記載すべき具体例は以下のとおりです。

参照:厚生労働省「厚生労働省 令和4年職業安定法改正について

必ず記載するべき項目 記載例
業務内容 一般事務、経理職、営業職
契約期間 期間の定めなし/期間の定めあり(令和〇年〇月〇日~〇月〇日)
試用期間 試用期間あり(6か月)
就業場所 〇〇営業所 (東京都〇×区△町1-2-3)
就業時間 9:00~18:00
休憩時間 12:00~13:00
休日 土日祝日
時間外労働 あり(月平均〇時間) あり(専門業務型裁量労働制適用者は、月〇時間働いたものとみなす)
賃金 基本給〇〇万円 固定時間外手当〇〇万円 (△時間分の時間外労働を含む) ただし、△時間を超える時間外労働については、超過分を別途支給する
加入保険 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
募集者の氏名又は名称 ○○株式会社
派遣労働者として雇用する場合 雇用形態:派遣労働者
受動喫煙防止措置の状況 事務所内全面禁煙 事務所内は喫煙室での喫煙を除き原則禁煙

業務内容
従事していただく予定の仕事内容を記載。職種や業種について、実際の業務の内容と著しく乖離する名称を用いてはいけない。

契約期間
契約社員等の期間雇用者を募集する場合は、「期間の定めあり」を記載。

試用期間
試用期間がある場合はその期間を記載。本採用の前に試用期間として有期労働契約を結ぶ場合は、試用期間の労働条件を明示する。

就業場所
採用時に就業が予定される場所を記載。

就業時間休憩時間
就業規則等に規定されているものを記載。就業時間については「原則として、1日に8時間/1週間に40時間を超えて労働させてはいけない」と労働基準法で上限が定められている。

休日
「少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」と労働基準法で定められている。今回の求人募集がどの休暇条件に該当するのかを確認し、正しく記載する。

時間外労働
専門業務型や企画業務型など裁量労働制が適用される場合は、記載例のように「みなし労働時間」がどのくらいになるかを記載。

賃金
最も重要な点は「最下限の給与(入社者が必ずもらえる金額)」の記載。固定給与にみなし残業代が含まれる場合は、たとえば「月給30万円(〇時間〇円分のみなし残業代含む)」と明記することが通例。固定残業代の制度がある場合は、(1)固定残業代を除く基本給の額 (2)固定残業代の内訳 (3)固定残業時間を超える時間外労働については割増賃金を追加で支給する旨、また裁量労働制がある場合はその内容を記載する。

参照:厚生労働省「固定残業代について」

受動喫煙防止措置の状況
全面禁煙、一部喫煙可等を記載。

派遣労働者として雇用する場合
労働条件に変更があった場合は確定後、速やかに明示すること。

このように労働者を募集する際には最低限記載すべき項目がいくつかあります。特に「給与」は多くの求職者が重視している項目であり、具体的に給与を記載している求人票は良い印象且つ応募してもらいやすくなります。実際に、厚生労働省職業安定局が平成27年に調査したデータでは「求人票の記載と実際の労働条件にギャップがあった」「求人条件と採用条件が異なっていた」という声の内訳として「賃金に関すること」が最も多くあがっています。つまり、給与を正しく記載することで採用後のミスマッチを防ぐことにも繋がるということです。

求人掲載で注意すべきNG表現

求人票を作成する際に気をつけたい禁止表現にはどのようなものがあるのでしょうか?性別・年齢・国籍などによる差別をはじめ、様々な法律で禁止されている表現がありますので、詳しく解説していきます。
(例)NG表現→OK表現

1.性差別表現(男女雇用機会均等法)

男女雇用機会均等法により、労働者の募集や採用に際して、性別を理由とする差別は禁止されています。

・男性または女性など、性別を理由に求人や採用の対象から排除する禁止表現
主婦歓迎→主婦(夫)歓迎
営業マン→営業マン(男女)、営業、営業スタッフ
女性歓迎→女性活躍中 ※採用にかかわる意思ではなく、企業や現場の現状を表す事実なのでOK

・男性、女性それぞれの募集人数の記載
募集人数:男性5名、女性3名→募集人数:8名

・性別で異なる条件を記載した表現
営業スタッフ(男性:法人営業経験あり、女性:未経験可)→営業スタッフ(法人営業経験者歓迎、未経験可)

・性別で異なる情報提供や採用試験をする記載
男性のみ説明会参加、女性のみ面接あり→男女ともに同一の試験内容を実施する

・性別を限定して募集や採用対象から排除する表現
女性秘書、支店長候補(男性歓迎) →秘書、支店長候補(男女)

※業務を行う上でどちらかの性別でなければならない理由がある「適用除外職種」として認められている求人は例外とされており、性別を限定しても違反にはなりません。
※適用除外職種の例
・女優、男性モデル
・重量物運搬(男性のみ)

2.年齢差別表現(雇用対策法)

雇用対策法により、労働者の募集や採用の際に、年齢を制限する表現は禁止されています。

・募集や採用の対象から特定の年齢層を排除する表現
募集年齢: 35歳まで→年齢不問
※年齢の表記は禁止

・特定の年齢層の応募を排除する表現
若い方歓迎 →学生歓迎
※高校生や大学生の場合、年齢の決まりはないため年齢制限にならない

・特定の年齢層に対し条件をつけた表現
45歳以上の方の適性検査を実施→全員適性検査を実施

※長期勤続によるキャリア形成のため、若年者を期間を定めず募集・採用する場合など「年齢制限に合理的な理由があると認められる」場合は例外です
※年齢制限が適用されるための条件
・定年年齢を上限に、労働者を期間の定めなく募集・採用する場合
・長期勤続によるキャリア形成のために、若年者を期間の定めなく募集・採用する場合
・技能を継承するため、労働者数の少ない職種や年齢層を対象に、期間の定めなく募集・採用する場合
・60歳以上の高年齢層または特定年齢層の雇用を促進する施策の対象者のみ、募集採用する場合

3.特定の人を差別・優遇する表現(労働基準法)

特定の人に対する差別的な意図で記載された表現は「差別表現」にあたるため、求人広告を作成する際にも注意が必要です。意識の有無にかかわらず、受け取る側が不快な思いをするような表現やワードの使用は避けるように注意しましょう。

・人種、民族、国家
外人、原住民、後進国 →外国人、現地人、発展途上国

・地域
〇〇県にお住まいの方→出身地や居住地の特定はしない

・心身の障害や身体的特徴
色盲、色覚異常→ブラインドタッチ
色覚障害→タッチタイピング

・性格
コミュニケーション能力が高い人→コミュニケーションを取りながら接客が出来る人
※性格ではなく、個人の能力に関することはOK

・ワクチン接種等の有無
ワクチン接種必須 →ワクチン接種推奨
※日本ではワクチン接種は「推奨」であり、義務化はしていないため、ワクチン接種の拒否による不利益措置は違法となる可能性がある

4.実態と異なる好条件(労働基準法・最低賃金法 他)

あえて実態と異なる好条件を記載して求職者をだます行為は禁止されています。また状況により求人広告掲載時から入社時に掛けて労働条件に変更があった場合には、必ずその旨を説明するようにしましょう。

ー禁止表現を記載するとどうなる?

禁止表現を使用した求人を掲載すると、6カ月以下の懲役または30万以下の罰金刑が科せられます。また、労働関係の法律に違反した場合、是正勧告などの行政指導を受ける可能性があります。それでも修正しない場合、企業名が実名で公表されるなど、社会的制裁を受けることになるでしょう。法的なものだけでなく、モラル違反によるトラブルも起こるリスクがあるということを十分理解し、禁止表現を記載しないよう細心の注意を払うことが大切です。

参照:https://hrog.net/knowledge/work/79581/

実際の求人票記載例

勤務先 株式会社クリーク・アンド・リバー社
職種 クリエイター業界に特化した人材エージェント(人材紹介/採用コンサルティング) IT・Web、エンタメ・アニメ業界/リモート有
勤務地 本社:東京都港区新橋4‐1‐1 新虎通りCORE
配属部門:プロフェッショナル・プロデュース・グループ
最寄駅 ・都営地下鉄 三田線「内幸町」駅 A1出口 徒歩5分
・JR山手線、 東京メトロ銀座線 他 「新橋」駅 烏森口出口 徒歩6分
給与(賃金) 年収: 400万円~800万円 月給制
月給:257,000円~/月
※給与は年齢、前職給与、過去の実績や経験を考慮の上決定いたします。
※昇給:年1回
※賞与:年2回(正社員対象/6月、12月 ※業績により変動)
給与に含まれる固定残業時間:30時間/月
給与に含まれる固定残業金額:50,000円~/月
固定残業時間を超える場合の支払い:あり
就業時間 休憩時間 時間外労働 フレックスタイム制度あり/コアタイム:11:00~16:00
※毎月第一月曜日(休日の場合は翌営業日)のみ9:00始業
休憩時間:60分
時間外労働:あり(月20~40時間程度)
屋内の受動喫煙対策 <就業場所における受動喫煙防止のための取り組み>
・屋内の受動喫煙対策:あり
・対策:喫煙室あり
・特記事項:喫煙専用室設置
福利厚生 通勤手当、在宅勤務手当、健康保険、雇用保険、労災保険、厚生年金、 選択制確定拠出年金制度、社員持株会制度、定期健康診断、専門性強化支援制度 等
※選択制確定拠出年金制度は正社員のみ適用
休日休暇 完全週休2日制(土日祝日)
年次有給休暇:10日~20日
年間休日:125日
年末年始休暇、夏季休暇、GW、慶弔休暇、年次有給休暇 等
試用期間 6ヶ月(期間中の労働条件変更なし)

職業安定法における罰則について

職業安定法は、主に職業紹介事業者に対して規制を設けた法律のため、求人企業に対して直接的に罰則が適用されるわけではありません。ただし、求人企業は職業安定法の規定を遵守する義務があります。

求人企業が職業安定法の規定に違反した場合、一般的には労働基準監督署や労働局などの関連機関が是正勧告や指導を行うことがあります。ただし、具体的な違反内容や罰則については、法律の解釈や適用によって異なる場合がありますので、労働基準監督署や専門の労働法律相談機関にご相談いただくのが良いでしょう。

企業が職業安定法を意識する機会は、求人及び求職の申込みを受けいれる場合だけですが、虚偽の広告、または虚偽の条件を提示した場合には、罰金刑が科せられることがあります。また、企業の依頼により職業紹介会社が違反となってしまう可能性もありますので、職業安定法で規定された内容にあわせた労働条件の見直しはもちろん、適切な表現で募集を行うようにしましょう。

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000984586.pdf

罰則内容 罰則事項
1年以上10年以下の懲役、 または20万円以上300万円以下の罰金 ・暴行や脅迫、精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって労働者の供給またはそれに従事した者
・労働者の供給が公衆衛生または公衆道徳上有害な業務に就かせる目的だった場合
1年以下の懲役または100万円以下の罰金 ・虚偽などの不正行為
・労働者供給事業の停止に違反して労働者供給事業を実行
・厚生労働大臣の許可を受けていない
6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 ・改善命令に違反
・虚偽の広告、または虚偽の条件を呈示
・工場事業所等に労働者を供給
30万円以下の罰金 ・理由なく報告を怠ったり、虚偽の報告を行ったりした場合
・立入りもしくは検査の拒否や忌避、質問に対する無答弁や虚偽の陳述をした場合

2024年4月の職業安定法改正について

ここまで現在の職業安定法について解説しましたが、さらに2024年4月より、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際に明示しなければならない労働条件が追加されることが発表されています。こちらもしっかり確認しておきましょう。

1.従事すべき業務の変更の範囲
「変更の範囲」とは、雇入れ直後だけでなく、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のことをいいます。雇入れ直後から業務内容変更の可能性があれば必ず記載しなくてはいけません。

2.就業場所の変更の範囲
「業務内容」同様、就業場所に変更の可能性があれば必ず記載します。

3.有期労働契約を更新する場合の基準
有期労働契約の場合、契約を更新する基準を明確に記載します。「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」というような抽象的なものではなく、「勤務成績、態度により判断する」「会社の経営状況により判断する」など具体的に記載することが望ましいです。

参照:厚生労働省「職業安定法 改正のポイント

まとめ

今回は、職業安定法の基本的な情報から、2022年10月1日に施行された改正について解説いたしました。法改正により対象者が拡大されたことや、現代の職業紹介事情を踏まえてルールもより厳格化され、求職者が安心して求職活動を行うことができる環境が整ってきています。求人募集を行う企業は、改正された職業安定法の内容をよく理解し、違反することのないよう努めましょう。